馳星周さんが語るイエロー・モンキー

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テレビジョン(1999年/角川書店)に掲載された、作家の馳星周さんのコメントをご紹介します(以下)。
パンチドランカーツアーで初めてイエロー・モンキーのライブを観た馳さんは、1998年9月に行われたNHKホール公演と12月に行われた日本武道館公演について、雑誌に寄稿されました。1999年にはロビン、ヒーセと「俺たちのヒーロー」というテーマで対談し、イエロー・モンキーを称賛されていました。

「テクニックとキャラクターが調和したパフォーマンス。これが、ライヴだ」
武道館といえば、わたしには全日本プロレスの会場というイメージが真っ先に思い浮かぶ。事実、この十年近く、武道館にはプロレス観戦にしか行っていない。

それが、イエモンだ。わたしはコンサートのためとしてはほとんど十年ぶりに武道館へ向かった。

プロレスファンとしてのわたしは、武道館に足を踏み入れるたびに胸の高鳴りを覚える。全日本プロレスの武道館は外れがない、というのがファンの間での通説なのだが、これから起こるであろう究極の肉体のパフォーマンスへの期待に神経が真っ先に切れてしまうのだ。

THE YELLOW MONKEYの武道館ライヴ。結論から書けば、次にイエモンの武道館ライヴに足を運ぶときは、プロレスのときと同様に、武道館に入った途端、わたしは胸の高鳴りを覚えるだろうと確信した。

それぐらい、この日のイエモンのパフォーマンスは素晴らしかった。この夜のライヴの一月ほど前、わたしはNHKホールでのライヴも観ているのだが、そのときより、明らかに彼らのテンションは高かった。

他のホールでは手を抜いている、というわけではもちろんない。彼らほどのキャリアを誇るバンドでも、やはり武道館は特別だということだ。たとえ、ドームやアリーナなどの集客力の高いライヴ会場が増えたとしても、武道館は特別な舞台なのだ。

いつもと変わらぬ、セクシィでゴージャスなパフォーマンス。それに武道館という場所があたえる魔力。吉井和哉が観客を煽り、ステージの上を転げ回る。菊地兄のギターは閃光を放つ(文字どおり)。廣瀬洋一は腰をグラインドさせてベースを弾く。菊地弟はドラムスを放りだしてステージ上のパフォーマンスに笑みを見せる。

素晴らしい。テクニックとキャラクターが調和したパフォーマンス。これが、ライヴだ。

ザテレビジョン(1999年/角川書店)