松任谷由実さんが語るイエロー・モンキー


松任谷由実氏対談1‗myiemon_イエローモンキー

PATi PATi(1997年/ソニー・マガジンズ)に掲載された、ロビンとの対談における松任谷由実さんのコメントをご紹介します(以下に抜粋)。松任谷さんはニッポン放送「松任谷由実のオールナイトニッポン」にロビンがゲスト出演したことで出逢い、ライブにも足を運ばれています。ロビンとはその後、ソロデビュー10周年記念で発売された「吉十」で再度対談、この対談当時を振り返り「SPARK」について「相当よかった」と発言されたり、「せっかくのスタイルなのに足が短く見える」という理由でライブ会場のスピーカー位置を指摘した思い出を懐かしがられたりと、興味深い話題が繰り広げられていました。

「音を聞いてどういうおどろおどろしい人が来るかと思ったら……想像以上だった(笑)」

ーいちばん最初の松任谷さんと吉井さんの出会いは?

松任谷由実:私のラジオの番組に吉井さんがみえてですね。そのラジオのディレクターがね、イエローモンキーイチ押しだったんですよ。すごいアーティスティックな人たちだと。それで吉井さんのお父さんが旅芸人さんってユニークな面にも驚かされつつ。それでね、音を聴いてどういうおどろおどろしい人が来るんだろうって思っていたら……

吉井和哉:好青年が来た(笑)

松任谷:いや、想像よりもおどろおどろしい人が来たんですよ。なんていうのかな、今はない感じ。天井桟敷的な、ああいう暗さ。独特の暗さがある人。でもしゃべってると大変大人。シュールっていうかね。

吉井:そのラジオ番組で“吉井くんは私の世代の人みたいだね”って言われたのがすごく感慨深くて。しかもうれしかったですね。

ー70年代的なものを感じたんですか。

松任谷:そうですね。私は天井桟敷って感じともまた違うんだけど、私の世代みたいな人だって言ったのはグループサウンズ的だっていうね。

吉井:ユーミンさんの歌詞、字面で追ってみて、身も蓋もないこと言うんだな、でもまんま入れるんだなって思った。

ー身も蓋もない?

吉井:あのね、この1行さえなければそれこそ白ですむのにって。「中央フリーウェイ」の歌詞で、“このごろはちょっと冷たいね”ってのがね、ムードいいなってときに出てきて。

ーそれがちょっと毒入ってるってところでしょうね。

吉井:毒なんでしょうけど、そうでもない、そうであってほしいなって。ユーミンさんの楽曲って聞いてる人を幽霊にさせちゃうんじゃないかな。体のない人。その幽霊が体験してることっていうの?足がない感じしちゃうの。でもそれって最高じゃないですか。

松任谷:それを吉井さんに置き換えるとある種いかがわしさになるんでしょうね。だから毒と言っちゃえば毒でね。

ー吉井さんも作詞してるときに身も蓋もない1行っていうか毒っていうのを意識して投入してますか?

吉井:意識して投入すると失敗するんですよ。すごい意識してね。ジャブ程度の、冗談で言う程度でやると幽体離脱感になる。そのかけらが最近でき始めたのかなって。だから今日、目からウロコが落ちました。そういうことを歌ってきたんだな、長い間って(笑)

松任谷:ねぇ、「SPARK」はセックスを違う表現でって最初から意図して作ったの?

吉井:正直言ってね…、実はそうなんですよ。

松任谷:やっぱりね。

PATi PATi(1997年/ソニー・マガジンズ)より抜粋
「松任谷由実×吉井和哉 春を待つ間によもやま話でも。」
インタビュー:表記なし/撮影者:表記なし

<記事内で登場した作品>

吉十