二村毅さん(スタイリスト)が語るイエロー・モンキー

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YLOFCメールマガジン(2005年)に掲載された、スタイリスト・二村毅さんのコメントをご紹介します(以下に抜粋)。「バラ色の日々」以降からイエロー・モンキーの、その後yoshii lovinson名義時代から吉井和哉のスタイリストとして関わられている二村さん。イエロー・モンキー再集結後も、新曲や雑誌で引き続き4人のスタイリングを行っています。

このコメントはyoshii lovinson名義時代のファンクラブ「YLOFC」のメールマガジンでyoshii lovinsonへのメッセージとして配信されたもので、イエロー・モンキーの第一印象からその後の印象の変化が語られていました。また、二村さんは吉井和哉名義の書籍「吉十」でも、熱い思いと愛のこもったコメントを寄せられています。

「『あ、お化粧系ね』ぐらいにしか思ってなかったのです。それからしばらくしてかなりキツいカウンターパンチをくらうのですが、、、。」

YOSHII LOVINSONさま。お元気ですか。
最近会ってないな。会いたいなあ。

ボクはスタイリストの二村毅といいます。
吉井さんのツアーの衣装のスタイリングを担当させていただきました。
スタイリングというより吉井さんとの共同作業という感じだったと思います。

吉井さんと初めて会ったのは結構前で、確かイエローモンキーの「バラ色の日々」のプロモーションの時だったと思います。今だから告白しますが、ボクはイエローモンキーの音をまったく聴いたことがなく、その仕事の依頼を受けて初めて写真を見ました。
「あ、お化粧系ね」ぐらいにしか思ってなかったのです。
それからしばらくしてかなりキツいカウンターパンチをくらうのですが、、、。

お世辞ではないのですが仕事をし始めてすぐに吉井さんの、そして音楽の大ファンになりました。
吉井さんは最初ボクが考えたよりも完全に嘘がなく、より本気で、とても繊細でかわいい人でした。
あまり今まで日本人のミュージシャンに狂信的に熱くさせられたことはなかったのですが、ちょっとくやしいくらいにハマりました。音楽的にも、人間的にも。

カレは感覚的な人間である分、慎重でもあります。しかし、何かを掴む感性がずば抜けて早い。
洋服でいえば[今]をキャッチするのが少なくとも1年早い。
ボクは音楽のディテールは素人なのでわからないのですが、カレは、プロフェッショナルである「ミュージック」というものはもちろん、様々な「匂い」を感じる力がものすごく早いのです。
そして、それが確実にポップになるのです。その早いが故のマイノリティをメジャーに落とし込む時に生まれる「葛藤」がカレのパワーであり切なさであると思うのです。
だからあの人にはロックとスターが共存できると思うのです。
しかし、少し人より「早い」ものをすぐに形にしたがるので、捨てる物も人より多かったりします。
ボクがカレとする共同作業は、捨てないで持っていかなきゃいけないものと、
すぐにテストとして取り入れなきゃいけないものとのバランスワークです。
カレは「先」のものを早く取り入れることにかけては天才なので、ボクはどちらかというと捨てなくてもいいものを一生懸命後ろで探している感じなんです。
洋服に関してはアホな専門家の話を聞くより、カレと1回仕事をするほうがどれだけ勉強になることか。

ソロの音源を始めて聴いたのは三軒茶屋のTSUTAYAでした。イエローモンキーの後期から曲を聴き、詞を読むとそこに出てくるのはいつも吉井和哉で絶対他人ではありませんでした。
ソロのファーストアルバムを聴いたときも“やっぱり戦ってんだ”と同時に、“早く一緒に仕事させてくれよ”という「嫉妬」が頭をぐるぐるしたのを覚えてます。

それからしばらく忘れるようにしていたのですが、今年の2月くらいに仕事帰りに笹塚のコンビニで買い物をしていたら「♪オレでよけりゃ必要としてくれ CALL ME  CALL ME」がBGMで流れてました。いっぱつで吉井さんとわかったのですが「うわ、この人、捨てなくていいものと今の気分の早いもののバランスを見つけたんだっ」とボクは思ったのです。
それから嫉妬系の「早く会いたい」が当分続くだろうなと思いました。が、その2日後。「二村さん変わらないね」と新宿伊勢丹の2Fで偶然遭い、声をかけてくれたのがYOSHII LOVINSON氏でした。
「ちょっと、仕事お願いしますよ。ファンなんで」
「今日はヘルムート・ラングのスニーカー買ったの。二村さんのこと忘れてないから、また今度」的な会話が、ライブの仕事につながったわけです。
ツアーが始まるまで、そして始まってからも一緒に買い物したり、会話をしたり、髪を切ったり、幸せかつすっぱい時間を一緒に過ごしたのですが、この人はひとつの答えを出した瞬間から次の新しいTryと、そこに待ってる葛藤に出発するのだと感じました。

ボクが今まで尊敬しているミュージシャンというのは、悲しいかな、スタイリストがいなく私服が戦闘服という人でした。I LOVE ジョン・レノン。
そういう人の私服をみて、ボクは憧れと葛藤を勝手に自分のクリエーションにしてきました。
もし吉井さんとこれからも一緒に仕事させてもらう機会があれば、自分の葛藤をカレを
通して少しでもポジティブに考えることが宿題の答えであり、それでカレが少しでも刺激を受けてくれればラッキーかな、と思います。I LOVE 吉井和哉。

井さん、ファッションなんてウソっぽいものを本気で本当に着れるのはあなただけなんですから。
これからもご協力お願いします!

YLOFCメールマガジン(2005年)より

<記事内で登場した作品>

吉十

※二村毅さんのコメントを収録

バラ色の日々
※二村さんが初めてイエロー・モンキーのスタイリングを手掛けたジャケット