ザ・コレクターズが語るイエロー・モンキー


%e3%82%b3%e3%83%ac%e3%82%af%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%82%ba%e2%80%97myiemon_%e3%82%a4%e3%82%a8%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%83%b3%e3%82%ad%e3%83%bc

音楽と人(2016年/シンコーミュージック)に掲載された、THE COLLECTORSのコメントをご紹介します(以下に抜粋)。イエロー・モンキー活動休止前、同じ日本コロムビア・トライアドレーベルに所属しレーベルメイトだったコレクターズ。トライアドレーベルが復活した際に移籍し、2016年に30周年を迎えました。
この記事は、30周年を記念し縁あるミュージシャンと対談する連載にロビンが登場したもの。ロビンはザ・コレクターズの30周年アニバーサリーソング「愛ある世界」にも参加しています。

ーコレクターズと吉井和哉となれば、やはりトライアドの思い出を語り尽すしかないですよ!

吉井和哉:あれっ、兄さん達、もうトライアドに来たんでしたっけ?

加藤ひさし:来たよ!

吉井:おお、良かった~!ホッとしました。熱烈なラブコールをしてたんですよ。ていうか、俺がトライアドの復活のリーダーみたいにさせられてたから。「いや、違うでしょ!」ってずっと言ってたんですよ。

古市コータロー:ミッシェルにも声かけたんでしょ?

吉井:そう。チバ(ユウスケ)くん、待ってるよー!

ーはははは。コレクターズは91年にコロムビアに移籍してきて、その1年後の92年にイエロー・モンキーがコロムビアからデビューして。

加藤:え、92年だっけ?

吉井:そうですよ。

加藤:もうちょっとあとのような気がしてたよ。そっか。そうじゃなかったら<世界を止めて>知らないもんね。あれ、93年だもん。

ーその頃、2つのバンド同士でお付き合いはあったんですか?

古市:会社で会うくらいだったけどね。

加藤:俺は吉井くんと名古屋のラジオを一緒にやってたんだよ。(註:FM AICHI<合点!太巻天狗>。深夜、焼肉店から生中継していた)。クリプトンの久美ちゃんと3人で

吉井:あ、何かやってた!でも何をしてたのかは覚えてない(笑)

加藤:あとNACK5の<ミッドナイトロックシティ>のDJね。吉井くんが先にやってたんだけど「こんな埼玉のラジオなんかやってらんねえ!」って、<オールナイトニッポン>に移籍しちゃったから「じゃあ埼玉はオレに任せろ!」って、俺が後ガマを引き受けたのよ。

吉井:言ってないですー!

加藤:政治家に置き換えると、俺は吉井くんの秘書みたいなもんなんだよ。吉井くんが悪いことしたら全部俺のせいになる(笑)。あとディレクターの宗清が最初イエロー・モンキーやってて、その後コレクターズ担当になった、そういう因縁もあってね。

古市:宗清さんっていうと悪い話しかないからねえ(笑)

吉井:あははははは!制作は穏便に進んでましたか?

ー「穏便に」って意味深な!

吉井:いや、宗清さんって、プログレッシブロックのマニアみたいなところがあるのよ。それとモッズなコレクターズが音楽的に喧嘩しなかったのかな、って。

加藤:俺はモッズだけども、実は俺もプログレ好きだったのよ。だから逆に話が合っちゃってさ。

古市:天地真理のファンだもんね、あの人。

吉井:コロムビアの必殺プロモーションのひとつに<唄う天気予報>ってあったの憶えてます?

加藤:あった!

吉井:コロムビアと契約すると、もれなくそのタイアップがついてくるっていう。

ー天気予報にPVが流れるやつですか?

加藤:そうそう。みんなPVじゃなくて天気見てんだよ(笑)

古市:あれがきっかけでCD買ったやついるのかね。

吉井:あ、カメラマンの有賀さん(註:有賀幹夫)は、あれでイエロー・モンキー知ったんだって(笑)。<アバンギャルドで行こうよ>が流れてるの観たって。

加藤:マジで?(笑)まあ、放映が朝3時半とか4時だったからね。眠れない連中が起きてる時間だったんだよな。

吉井:俺、その番組でコレクターズの曲聴いて<良い曲だなあ。こういうの作ろう>と思って<太陽が燃えている>を作ったの。宗清さんが言ってましたよ。「あれはな、ダンヒルサウンドっていうんだ」って。

―ダンヒルサウンド?

加藤:70年代のアメリカに、ダンヒルレコードっていうレーベルがあったんだよ。そこがモータウンのような、一つのスタイルを確立してたの。白人なんだけど黒人からちょっと影響されて、アメリカンポップスとソウルの中間をいくような。当時それが好きだったんで、コレクターズでやろうと思ってたんだけど、そういうのにピンとくるのが宗清しかいなくて。

吉井:<世界を止めて>とか<MOON LOVE CHILD>とか。

ーコレクターズのそういうタイプの曲に、吉井さんが影響を受けた、と。

吉井:そう。尾崎紀世彦さんの<また逢う日まで>もダンヒルサウンドなんだよね。そういう曲を作ってみようと思って、<悲しきAISIAN BOY>を作ったの。だけどよく考えたらあれ、水前寺清子の<ありがとう>なんだよね。ベースがはねてる感じは、まさにダンヒルサウンド(笑)

ーじゃあイエロー・モンキーがブレイクしたきっかけは、コレクターズの影響があった、と。

吉井:様様なんですよ、ほんと。

古市:何言ってんの、あっという間に大スターになったじゃん(笑)

吉井:んなことないですって(笑)

古市:96年に移籍でしょ?<SPARK>残して。

吉井:あ、思い出した!実は<SPARK>出した頃、メンズウェアってブリットポップのバンドがいて、彼らの曲からインスピレーション受けて<SPARK>の始まり方とかリフの感じをちょっと真似したんですよ。そしたらコータローさんに会った瞬間「あれ、メンズウェアでしょ?」って見事にバレて。ドキ!(笑)。<ここにいたら何もできない!>って思って、で、移籍したんです。

一同:ははははは!

ー吉井さんがデビューした頃は、コレクターズが「世界を止めて」でスマッシュヒット飛ばして、ちょっと天狗になってた頃ですよね。

加藤:なってねぇっつうの!

古市:ちょっとコロムビアがコレクターズを押そうかって空気になるんだけど、すぐ「smile」がチャート1位になって、会社が色めきだすんですよ。

吉井:なってない!1位になったのは「FOUR SEASONS」です!

古市:だって俺がインタビュー受けてたら、全然関係ないコロムビアの人が会議室に入ってきて「イエモンが1位になりました」って言ったんだよ(笑)

加藤:俺たちがちょっと浮かれようと思ってたら、あっという間に持ってかれちゃって。

古市:じゃあ俺らはロックの隙間を狙おうと思ったら、あっという間にミッシェルが売れちゃってね。

ーですからこうしてトライアド復興のシンボルになってるわけですよ。

吉井:シンボルにすんな~!(笑)。しかしこれからはどうしたら良いですかね、トライアドは。

加藤:まずイエロー・モンキー再結成でしょ。

吉井:ははははは!身を削れ、と。

加藤:あとはピチカート・ファイブとミッシェルガンエレファントも再結成。この3本柱はいってもらわないと!

吉井:再結成レーベルじゃないですか(笑))

音楽と人(2016年/シンコーミュージック)より
文:金光祐史/撮影:柴田恵理

<記事内で登場した作品>

愛ある世界 THE COLLECTORS -30th Anniversary Session-

※ロビンが参加したセッションバージョン収録

Request Hits

※「世界を止めて」収録