ROCKIN’ ON JAPAN (2010年/ロッキング・オン)に掲載された、rockin’on総編集長・山崎洋一郎さんのコメントをご紹介します(以下に抜粋)。ROCKIN’ ON JAPANで幾度となくイエロー・モンキーへインタビューを行い、デヴィッド・ボウイにも思い入れを持つ山崎さん。ROCKIN’ ON JAPAN ・イエロー・モンキー結成20周年記念特集で、3rdアルバム「jaguar hard pain」について語られました。
「もう一つの最高傑作」
架空のロックスター「ジギ―」を主人公にしたロックの歴史的傑作、デヴィッド・ボウイの『ジギ―・スターダスト』を明らかに狙った、戦死した青年ジャガーを主人公にした『ジャガー・ハード・ペイン』。大胆不敵、いやケンカ腰である。この時の吉井和哉は赤い軍服を着て頭を坊主にして、手に負えない反逆のオーラを撒き散らしていた。自分たちがロックを背負っているという過剰な思い込みと、でも自分たちは禍々しい私生児だという屈折とが爆発して、開き直ってシーンに啖呵を切ったのがこのアルバムである。
イエモン初期の代表作である。大ヒット曲こそないが、後の重要な定番曲も多い。過剰な思い込みによる過剰な歌詞や大胆なアレンジが、当時は異形だったが結果として普遍性を持ったのである。正しいロック・アルバムなのだ。売れなかったが、この時に彼らを表紙にしたことは僕らの誇りだ。
ROCKIN’ ON JAPAN
(2010年/ロッキング・オン)より抜粋